【アニメ】C 最終回

Cの最終回まとめ感想です。

◇総評
中村健治監督の最新作、しかも「お金」をテーマにした作品という事で、注目していた本作。

確かに、中村監督らしい映像・演出や独特な設定・世界観は、非常に斬新で面白い試みだな~という印象を受けました。
しかし、1本のアニメとしての出来を問うと、私には不満点の方が目立ちましたね。


まず、気になったのは、「バトルアニメとしての面白さ」という部分。

資本主義経済の概念をディールという、解り易い1対1のバトルで表現したのは良いと思うんです。
リアルに投資や買収をする話を描くよりも、アニメとして華やかさも出ますからね。

ただ、このディールという勝負が、あまりにも単純化され過ぎていて、バトルアニメとして盛り上がりに欠けたのが非常に残念でした。
勝負の分け目とも言うべき、勝因や敗因がすごく曖昧なんですよ。

「これをしたから勝った」とか「こういう理由あるから強い」とか、そういう理由付けがまったくないままに勝負が決まってしまうのです。
要は、アセットの強さか、資金力の多さで、勝負が決まってしまうと。
それはそれで資本主義経済の本質なのかもしれませんが、そんな強い奴が勝つだけで、何の駆け引きもないバトルアニメなんて面白くありませんよね。

折角、お金や経済をモチーフにしているのだから、もっとそれを生かしたアイディアがあっても良かったと思います。
主人公が学校で習った経済の知識を基に、何かトリックを仕掛けて勝つとか、そういう展開があっても面白かったんじゃないでしょうか。

もう1つ言うと、ディールの見せ方といった部分も非常に不親切。
ゲームで言う「HP」の表示もどっちがどっちか解らないし、コストの掛け方によるリスクとリターンの説明も1回あっただけ。
こういう細かい部分をもう少し詰めれば、もうちょっとバトルシーンが面白くなったかな~と思うんですけどね。


さて、次に気になったのは、「主人公の立ち位置」です。

作品の最初の頃は、安定第一主義な人間だった主人公・公麿。
それが、三國との出会いによって、ディールで戦おうと決意します。

ところが、江原との戦いで、再び悩み、三國の戦いを見て、最小限の差で勝つ戦いを目指し始める…と。

う~ん、これって結局、最初の安定第一主義の公麿に戻っていませんか?
三國も「勝て勝て!」みたいな事を言っといて、やっている事は実に平和的。
なんかこのチグハグな感じに、すごく違和感を感じました。

もっと言えば、公麿が「実は父親が家族を想ってディールに参加していた」という事に気付く場面。
すごく感動的に描いていたけど、それって「父親が大勢の人の未来を奪っていた」という事でもあるわけで、そんな良い所ばかり強調されても…という気もするんですよね。

そもそも、公麿の様な「真面目にコツコツがんばろう」っていう思想を否定する事自体、納得出来ないんですよ。
なんで安定第一主義じゃ駄目なんでしょうか?
勿論、三國の様に「他者から奪ってでも大切な人を守る」っていう思想も否定は出来ません。
どちらも一長一短がある事だから、寄せる事もないし、相容れる事もない。
それを無理やり、どちらか一方を選らべ、間を取れって言うのは乱暴な気がしますね。


さてさて、最後に気になったのは、「現在か?未来か?」という点。

物語の後半は、「現在の為に未来を犠牲にする三國」と「未来のない現在なんて意味がないと言う公麿」の対立が軸になっていきます。
最終的に、公麿が三國とのディールに勝ち、現在よりも未来を選ぶ事になるのですが、これも乱暴な話だな~と思うんですよね。

公麿が言う事も解りますよ。
でも、Cによって、日本自体が消滅してしまったら、未来も何もないわけです。
公麿の言い分は、見方を変えれば、「今生きている人間はどうなろうが構わないから、未来を大切にしよう」という風にも聞こえるわけで、これはこれですごく傲慢な意見にも見える。

2人の言い分は両方とも正しいだけに、どちらかを選ぶなんて無理な話でしょう。
こうなると、どちらの人間に感情移入出来るか?って事ぐらいでしか決められないんだけど、私は三國の方に感情移入してしまいました。

彼の思想云々は置いとくとして、覚悟のレベルに関しては、公麿と明らかに差があったと思います。
自分の未来も財産も、全てを失ってでも国を守ろうという決意が、三國からは伝わってきました。

一方の公麿は…やはり三國に比べると、軽い印象だったと言わざるを得ません。
三國の様に、「何かを犠牲にしてでも」という気概がまるでないし、それ故に言葉に重みがまったく出てこないんですよ。
青い理想論を吐き散らかす若者のままというか…。

ついでに言うと、ラストの展開も酷かったですね。
あの日本が何十年後の姿なのか、それともパラレルな新しい日本なのか解りませんよ。

でも、ここまで散々、「現在か?未来か?」という二者択一をしてきて、結果として未来を選んだのなら、「破滅する現在」を最低限描かなきゃダメでしょ。
あんなにご都合主義的なハッピーエンドを迎えられたら、今まで一緒に悩んできた視聴者は一体何だったんだ?っていう話になる。
一方では、「破滅していく未来」を描いておいて、もう一方では見せないというのは、あまりに不公平だと思います。

公麿にしてもそう、三國があれだけの犠牲を払ったのだから、公麿もそれなりの対価を払うべきではないでしょうか。
真朱や羽奈日を失ったのかもしれないけど、それとは比較にならない程の報酬(未来)を得たと思うんですけどね。



感想は以上です。

こうやって不満点を羅列すると、「説得力のなさ」という事に尽きるのかなと思いました。

バトルにしても、物語にしても、説得力がない。
だから、作品に入っていけないし、それどころか疑問点ばかりが増え、距離がどんどん空いてしまうと。

難しいテーマを扱っているのだから、その分、もっと作品に対して誠実にアプローチして欲しかったです。
「こうしたら、こうなる」っていう因果を積み重ねないと、視聴者は納得しないし、付いてきませんよ。
作り手の中だけで成立していたり、作り手の中だけで満足してしまっているのが、本当に残念でした。

「お金」というテーマに対して、SFやバトルといった要素を織り交ぜながら表現しようとした、そのチャレンジ精神は買うんですけどね…。

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